学会について

利益相反(COI)について

日本小児腎臓病学会 利益相反に関する規則

日本小児腎臓病学会(以下、本学会)は、様々な活動を通じて社会に貢献することを目指している。しかし、同時に本学会および本学会員(以下、会員)におけるそれらのすべての活動においては、社会的責任と高度な倫理性が要求されている。このことに鑑み、本学会において、利益相反(Conflicts of Interest, COIと略す)に関する規則を定める。
本規則の策定においては、経済的なCOI状態が研究者に生じること自体には問題は無いことを理解し、本学会がそれらを適切に管理し、研究内容や著作物にバイアスが掛けられていると見られかねない状況を修正し、研究者および研究機関に対する根拠のない誤解を避ける仕組みを構築することを目的とする。つまり、本学会がCOIを適切にマネージメントすることにより、医学的研究の実施、研究成果の発表・普及・啓発等の活動を信頼性と公明性を維持した状態で適正に推進させ、小児腎臓病およびその周辺疾患に含まれる疾患の予防・診断・治療の進歩に貢献することにより社会的責務を果たすことにある。
なお、本学会、および会員の活動とは、本学会が主催する学術集会をはじめとするあらゆるプログラム、本学会が編集する学会誌をはじめとする刊行物の出版、本学会の関与する各委員会活動、調査・研究事業、およびこれらに関わる会員の活動のことである。
この規則は、本学会会員を他者からの誹謗中傷から守ることも一つの目的としたものである。ただし、会員の正直で誠実な対応が必要で、意図的な虚偽の記載などがある場合には、違反者として何らかの措置(以下、第8条)を考慮する。

第1条(対象者)

  1. 本規則は、以下各号に定める者に対し適用される。
    本学会の役員(理事長、理事、監事)
    本学会が主催する学術集会、セミナー、講演会等担当責任者
    本学会の各委員会、ワーキンググループ委員
    本学会学術集会発表者(共同発表者を含む)、本学会刊行物への投稿に係る執筆者(共同執筆者を含む)、本学会が主導する診療ガイドライン等の策定に関わる者
    本学会の事務局職員
    その他、利益相反委員会委員長が必要と定めた者
  2. 本規則は、前項各号に規定する対象者の配偶者、一親等の親族に対しても適用される。

第2条(COIの自己申告の提出等)

  1. 前条1項1号、2号、3号、5号及び6号に定めた対象者は、本学会が行うすべての事業活動に関し、「企業や営利を目的とした団体」との経済的な関係について、第4条に定める基準に従い、就任時を起点として当該年度および前年度から過去3年度分(当該年度を含む)におけるCOI状態の有無について、所定のCOI報告様式(COI報告様式1)を用いて本学会に提出しなければならない。在任中に新たなCOI状態が発生した場合には、発生してから8週以内にCOI報告様式を用いて本学会に提出しなければならない。
  2. 前条1項4号に定める対象者は、学術集会等での発表・刊行物への投稿・ガイドライン等の策定及び調査研究に関し、発表内容・投稿内容・ガイドライン・調査研究等内容に関連する「企業や営利を目的とした団体」との経済的な関係について、第4条に定める基準に従い、学術集会等演題登録日・論文等投稿日・ガイドライン等策定開始日等を起点として、当該年度および過去3年度分におけるCOI状態の有無について、所定のCOI報告様式(COI報告様式2)を用いて本学会に提出するとともに、以下各号の定めに従って開示しなければならない。
    学術集会等での発表者(共同発表者を含む)は、演題登録時にCOIを自己申告し、当該学術集会等発表時に、COI状態の有無を公表する。 演題登録時にはweb登録の際の申告フォーマットを用いるか所定の様式(COI報告様式2)を用いて申告する。
    本学会の学会誌などで論文発表を行う著者は全員、会員・非会員を問わず、発表内容が企業や団体と経済的な関係を持っている場合、投稿時を起点として該当年度および前年度から3年間のCOIのみならず、出版受理時に追加事項がある場合は追加COIも含めてCOI状態を所定の様式(COI報告様式2)を用いて事前に編集委員会へ届け出なければならない。論文の責任著者は当該論文にかかる著者全員からのCOI状態に関する申告書を取りまとめて提出し、記載内容について責任を負うことが求められる。論文の末尾には巻末の開示例を参考に各著者のCOIを明記し、COIが存在しない場合も「日本小児腎臓病学会の定める基準に基づく利益相反に関する開示事項はありません。」との一文を付す。
    ガイドラインや指針の策定にかかる委員会の委員長および委員は、就任時に所定の様式所(COI報告様式1)を用いて該当年度および前年度から過去3年分を提出しなければならない。また、著作物の冒頭に巻末の開示例を参考に策定に関わったすべてのメンバーのCOIをその有無に関わらず、すべての項目に関して巻末の開示例を参考に開示することを推奨する。
  3. 1項、2項においてCOI状態がありの場合は、経済的な関係のある企業や営利を目的とした団体の名称、および経済的利益の項目を公表または明示しなければならない。 該当者は所定のCOI報告様式を作成後提出する必要がある。さらに著作物公開時および学術集会演題公表時には巻末の開示例に従い開示する必要がある。

第3条(対象となる団体)

前条に定める「企業や営利を目的とした団体」とは、以下各号で規定する関係をもった企業や団体とする。

医学的研究を依頼し、または、共同で行った関係(有償無償を問わない)
医学的研究において評価される治療・薬剤・機器等に関連して特許権等の権利を共有している関係
医学的研究において使用される薬剤・機材等を無償もしくは特に有利な価格で提供している関係
医学的研究について研究助成・寄附・役務等をしている関係
医学的研究において未承認の医薬品や医療器機等を提供している関係
寄附講座等のスポンサーとなっている関係

第4条(COI自己申告の基準について)

COI自己申告を必要とする基準は、以下各号で規定する。ただし、以下各号の年間とは4月1日から翌3月30日までとする。また、年度内途中での申告基準額は、以下各号に規定する年間基準額とする。ただし、申告時以降、追加の活動があり、年間基準額以上となった場合は、第2条第1項に従い申告しなければならない。

医学的研究に関連する企業や営利を目的とした団体(以下、「企業や団体」という)の役員、顧問職については、一つの企業や団体からの報酬額が年間100万円以上とする。
株式の保有については、一つの企業についての一年間の株式による利益(配当、売却益の総和)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合とする。
企業や団体からの知的財産権の対価として受ける使用料、譲渡額等については、当該対象者が受ける1件あたり年間100万円以上とする。
企業や団体から、会議の出席(発表)に対し、拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料等)については、一つの企業や団体からの年間の講演料等が合計50万円以上とする。
企業や団体がパンフレット、座談会記事等の執筆に対して支払った原稿料等については、一つの企業や団体からの年間の原稿料等が合計50万円以上とする。
企業や団体が提供する研究費については、医学系研究(治験、受託研究費、共同研究費等)に対して一つの企業や団体から、申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは申告者が長となっている部局に割り当てられた総額が年間100万円以上とする。
企業や団体が提供する奨学(奨励)寄附金については、一つの企業や団体から、申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは申告者が長となっている部局に割り当てられた総額が年間100万円以上の場合とする。
企業や団体が提供する寄附講座に申告者が所属している場合とする。
研究と直接無関係な旅行・贈答品等の提供については、一つの企業や団体から受けた総額が年間5万円相当以上とする。

第5条(COI情報の保管)

  1. 第1条1項1号、2号、3号、4号、5号及び6号に定めた対象者から提出されたCOI情報は、当該申告者の任期満了の日から2年間、理事長の監督の下において本学会事務所で厳重に保管されなければならない。 ただし、PDF化された電子資料での保管も可能とする。
  2. 第1条1項4号に定める対象者から提出されたCOI情報は、学術集会等での演題登録・刊行物への投稿・及びガイドライン等の策定が開始された日から2年間、理事長の監督の下において本学会事務所で厳重に保管されなければならない。ただし、PDF化された電子資料での保管も可能とする。
  3. 前2項に定める2年間の期間を経過したものについては、理事長の監督の下において削除・廃棄することができる。

第6条(COI情報の開示)

  1. COI情報は、原則として非公開とする。
  2. COI情報は、理事会において、本学会として社会的・道義的な説明責任を果たすために必要があると認めた場合には、必要な範囲で本学会の内外に開示または公開することができる。 但し、理事会は、COI委員会の助言を受けたうえで、当該問題を取り扱う特定の理事に対し、COI情報の開示に関する決定をする権限を委嘱することができる。
  3. 前項の場合、開示または公開されるCOI情報の申告者は、理事会または決定を委嘱された理事に対して意見を述べることができる。
  4. 非会員による、COI情報の開示請求(法的請求を含む)について、理事長において当該請求に妥当な理由があると判断した場合、COI委員会が個人情報保護を考慮のうえ開示内容を作成し、理事長から請求者に回答する。

第7条(対象者が回避すべき事項)

第1条の対象者は、医学研究の結果とその解釈といった公表内容や、医学研究での科学的な根拠に基づくガイドライン等の作成について、その医学研究の資金提供者・企業の恣意的な意図に影響されてはならない。

第8条(違反者に対する措置)

理事会は、本規則に違反する行為に関して審議する権限を有しており、COI委員会に諮問し答申を得たうえで、理事会で審議した結果、重大な指針違反があると判断した場合には、その違反の程度に応じた期間を設定して、以下各号で定める措置の全てまたは一部を講ずることができる。

本学会が開催するすべての講演会での発表禁止
本学会の刊行物への論文等掲載の禁止あるいは論文等撤回
本学会の学術集会の会頭就任禁止
本学会の理事会、委員会、作業部会への参加禁止
本学会の理事の解任、または理事になることの禁止
本学会会員の資格停止、除名、または入会の禁止等
その他本委員会が適当と考える措置

第9条(不服申し立て)

  1. 前条で定める審議により措置を受けると決定された者が、当該結果に不服があるときは、理事会決定の結果の通知を受けた日から7 日以内に、理事長宛ての不服申し立て審査請求書を学会事務局に提出することにより、審査請求をすることができる。
  2. 理事長は、前項の審査請求を受けた場合、速やかに不服申し立て審査委員会(以下「審査委員会」という)を設置しなければならない。
  3. 審査委員会は、理事長が指名する本学会会員若干名により構成され、委員長は委員の互選により選出する。COI委員会委員は審査委員会委員を兼ねることはできない。審査委員会は審査請求書を受領してから30日以内に委員会を開催してその審査を行う。
  4. 審査委員会は、必要があると判断した場合には、当該不服申立者から意見を聴取することができる。
  5. 審査委員会は、特別の事情がない限り、審査に関する第1 回の委員会開催日から30日以内に不服申立てに対する答申書をまとめ、理事長に提出する。
  6. 審査委員会の決定に対しては、不服申し立てはできない。

第10条(COI委員会)

  1. COI委員会は、理事長が指名する本学会会員7名および外部委員により構成し、委員長は理事長が指名し理事会で承認された理事長以外の者とする。
  2. COI委員会は、提出されたCOI情報の確認・調査等を行う。本学会事務局員は、COI委員会委員長の指示のもと、これに協力することができる。
  3. COI委員会委員および本学会事務局員は、委員会の活動により知った会員のCOI情報についての守秘義務を負う。
  4. COI委員会は、理事会、倫理委員会と連携して、本規則に定めるところにより、役員のCOI状態の管理と違反者に対する対応を行う。

第11条(規則の変更)

本規則は、社会的要因や産学連携に関する法令の改変等から、個々の事例によって一部に変更が必要となることが予想される。COI委員会は、本規則の見直しのための審議を行い、理事会の決議を経て、変更することができる。

附則

第1条(施行期日)

本規則は、2019年10月8日から施行する。
ただし、第1条1項4号に定めた対象者のうち、本学会学術集会発表者(共同発表者を含む)については第55回日本小児腎臓病学会学術集会演題登録から、本学会機関誌への投稿に係る執筆者(共同執筆者を含む)については2020年1月1日から適用する。

第2条(本規則の改正)

本規則は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備ならびに医療および臨床研究をめぐる諸条件の変化に適合させるために、原則として、必要に応じて見直しを行うこととする。

第3条(役員等への適用に関する特則)

本規則施行のときに既に本学会役員(理事長、理事、監事、委員会委員長を含む)に就任している者については、本規則を適用して所定のCOI自己申告を行わせるものとする。

本規則は2019年10月8日に公開した。

付録:COI開示例

  1. 日本小児腎臓病学会雑誌、ガイドライン等明示例(論文・本文末尾または冒頭に記載)

    例1:日本小児腎臓病学会の定める基準に基づく利益相反に関する開示事項はありません。

    COI開示例1

    例2(開示すべき項目のみ記載):
    日本小児腎臓病学会の定める利益相反に関する開示事項に則り開示します。
    該当者氏名
    研究費 ・・・・・製薬

    COI開示例2

    例3(すべての項目を記載、特にガイドラインにおいては本形式を推奨する):
    日本小児腎臓病学会の定める利益相反に関する開示事項に則り開示します。
    該当者氏名:①無し、②無し、③無し、④***製薬株式会社、⑤無し、⑥無し、⑦***製薬株式会社、⑧無し、⑨無し

    企業や営利を目的とした団体の役員、顧問職の有無と報酬(年間100万円以上)。
    株式の保有と株式による利益(年間100万円以上)、あるいは当該全株式の5%以上の所有の有無。
    企業や営利を目的とした団体からの知的財産権の対価として支払われた報酬(1件あたり年間100万円以上)。
    企業や営利を目的とした団体から、会議の出席(発表、助言など)に対し、拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料等)(一つの企業・団体からの年間50万円以上)。
    企業や営利を目的とした団体から、パンフレット、座談会記事等の執筆に対して支払われた原稿料等(一つの企業・団体から年間50万円以上)。
    企業や営利を目的とした団体から提供された研究費(一つの企業・団体から申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは申告者が長となっている部局に割り当てられた総額が年間100万円以上)。
    企業や営利を目的とした団体から提供された奨学(奨励)寄附金(一つの企業・団体から年間100万円以上)。
    企業や営利を目的とした団体が提供する寄附講座に申告者が所属している場合。
    研究と直接無関係な旅行・贈答品等の提供(一つの企業・団体から年間5万円以上)
  2. 学術集会演題公表例(口演ではスライドの2枚目(タイトルスライドの後)に公表、ポスターでは最後に開示)

    COI報告様式1_役員等

    COI申告様式2_学会誌・学術集会

    学術集会演題公表例

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